大蔵寺の木造阿弥陀如来立像
末吉の大蔵寺にある阿弥陀如来像は、高さ62センチメートルのヒノキ材一木造りです。
室町時代前期頃の制作と考えられます。
厨子天板の銘記によると、嘉吉2(1442)年に日向国南那珂郡東郷村の年澄大蔵は戦に破れ、本願寺七世存如上人に帰依し、法名を了願とし、俗名を以て寺号を賜り、後に尊像を奉仕して帰郷したとあります。
本仏像は作者は不明ですが、伝恵信僧都作との記録もあります。
明治38年に大蔵寺は末吉に移り、明治40年に仏像も奉迎しました。
像容は、やや素朴な作風であるものの、鎌倉時代中期から後期の影響を受けた造像形式を見せています。
何回かの補修も見られますが、光背支柱ほぞに「本願寺」「大蔵寺」「了願坊」「日向国殿所」の墨書があり、本像の由来を示しています。
また、15世紀に畿内から九州南部に奉持されて、今日まで伝承されてきたことから、畿内と九州南部との文化交流の一端も示す非常に貴重な仏像といえます。
見学は、大蔵寺(0986-76-1003)までお問い合わせください。